◆◇◆━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━◆◇◆ 》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《 第325号(2016.6.1) 日本商工会議所 商工会議所年金教育センター ◆━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━◆ 〉〉〉CONTENTS〈〈〈 ─────────────────────────────────── 【企業年金あれこれ】 1〉「企業年金と日銀のマイナス金利政策」(全3回) 第1回 DBの年金財政への打撃は限定的 ─────────────────────────────────── 【各種のデータ】 2〉確定拠出年金の施行状況(平成28年4月30日現在)~厚生労働省調べ ─────────────────────────────────── 【日本商工会議所からのお知らせ】 3〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて ─────────────────────────────────── このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試 験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。 ◆◇───────────────────────────────◇◆ ■━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 1〉「企業年金と日銀のマイナス金利政策」(全3回) 第1回 DBの年金財政への打撃は限定的 久保 俊一 ─────────────────────────────────── バブル経済が崩壊した1990年以降、日本の金融市場では長短の金利が低下し、 長らく低金利の代表国でした。そこに中央銀行である日本銀行が今年1月、マ イナス金利の導入を突然決定、2月中旬から実施に移しました。2014年の欧州 中央銀行に続いてのマイナス金利の導入であり、金融機関はもちろん、資産運 用会社やそこにお金の運用を委託する年金など機関投資家も初体験に戸惑いを 隠せません。マイナス金利は企業年金にどんな影響があるのでしょうか。第1 回は企業年金(確定給付企業年金=DB)の運営への影響を検証してみます。 まず、マイナス金利とは何でしょうか。インターネット上にある「知恵蔵 2015の解説」では次のように説明しています。「金利がマイナスになること。 通常は預金・貸し金の利子あるいは利息である金利(名目金利ということもあ る)がマイナスになることはないが、超低金利時には短期金利が極めてまれに 瞬間的にマイナスになることもある。…」(本庄真 大和総研監査役/ 2007年) 通常の金融市場では、投資家が1年物の国債を買うと、満期時に元金と金利 を受け取ります。例えば、100万円で1年物国債を購入、1年後に元金と利息を 合わせて101万円受け取れば、利回りは年1%です。日本の金利水準は非常に下 がっており、満期までの期間が20年、30年といった超長期債を除いて、利回り は年1%を下回る状態でした。それでも知恵蔵の解説にあるように、金利がマ イナスになることはほとんどなく、あっても期間の短い国債に一時的、例外的 に起こる現象でした。 【マイナスで金利所得が機関投資家から国に移る】 ところが、今回はマイナス金利が日本国債に幅広くみられ、かつ定着化して います。マイナス金利がすぐに解消される可能性は極めて低いというのが市場 関係者の見方です。5月25日現在、日本国債の10年物の利回りはマイナス0.1% 前後で、理論上、投資家は100万円投資した場合、毎年1000円の金利を国に払う 形になります。 ただ、個人が預ける銀行預金などにはマイナス金利は未だ波及しておらず、 わずかながらプラス金利を維持しています。個人に対する政策的な配慮が働い ていると思われます。個人の場合は、むしろ住宅ローンの金利低下などではプ ラスの恩恵を受けています。従ってマイナス金利の打撃を受けるのは主に大金 を国債などに投資している投資家です。具体的には生保や銀行や企業年金など です。マクロ経済学的にいえば、マイナス金利は金利という所得が国債を購入 する機関投資家などからそれを発行する政府に移る(政府の利息負担が減少す る)ことを意味します。 金利がマイナスなら国債など買わず、現金で保有すればいいと考えるかも知 れませんが、何十億円、何百億円という巨額の資金を現金で保有することは事 実上、不可能に近いでしょう。保管する場所が必要なほか、盗難などのセキュ リティの問題もあるからです。 【企業年金の財政は健全性を維持】 ここからは企業年金の財政中心にマイナス金利の悪影響を考えます。企業年 金が投資する最大の資産クラスは今も国内債券です。その大半は日本国債が占 めてきました。その国債で金利が発生せず、逆にマイナスになるという現状は 資産運用にとって大変厳しい環境です。多くの企業年金では年3%前後の運用 利回りが確保できることを前提に制度を運営しています。主力資産の国債が稼 いでくれないなら全体の利回りは確実に落ちます。 マイナス金利の意味するところは「リスクのないところにリターンはない」 ということです。今後、資産運用でリターンを求めるなら、それなりのリスク を取る必要があります。しかし、無謀なリスクテイクは墓穴を掘るかもしれま せん。企業年金の関係者は日本国債離れを加速させると予想されますが、その 行先には頭を痛めています。 ただ、幸いなことに日本の企業年金の財政状況は過去最高の水準にあります。 アベノミクス効果で、株価が大きく上昇したことなどから、企業年金の保有す る資産額は年金債務の1.2倍以上に膨らみ、総じて豊富な剰余があります。一 部の企業年金では剰余が積み上がり過ぎたため、標準掛金の受け入れをストッ プする動きも出ているほどです。 この剰余をバッファーにすれば企業年金が2000年のITバブル崩壊後やリー マンショック後に経験したような大きな積立不足に陥る可能性は低いでしょう。 次回はマイナス金利が年金スポンサーである企業の収益にどんな影響を与え るかを検証します。 本稿における意見に関する部分は、筆者個人の見解であり、所属する組織・ 法人のものではありません。 執筆者紹介 久保 俊一 公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構 特任研究員 1974年に日本経済新聞社に入社。 記者、デスクなどを経て2002年3月に日本経済新聞企業年金基金の 事務局長、2007年3月に常務理事兼運用執行理事、2015年4月に理事長。 2016年4月から現職。 ■━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 2〉確定拠出年金の施行状況(平成28年4月30日現在)~厚生労働省調べ ─────────────────────────────────── 厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の データについて、その内容を以下にご紹介します。 アドレスは、こちらです。 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html (1)承認規約数 4,985件 (2)加入者数 約5,482千人(平成28年3月末現在 速報値) (3)実施事業主数 22,942社 ◆個人型年金の加入者等(平成28年3月末現在) (1)第1号加入者 70,373人 (2)第2号加入者 187,206人 (3)合 計 257,579人(資格喪失者を除く) (4)事業所登録 158,061事業所 ◆登録運営管理機関 197社 ■━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 3〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて ─────────────────────────────────── DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した 場合は、お手数ではございますが以下のいずれかのサイトから登録情報の変更 をご連絡ください。ご連絡をいただかないと、情報誌や資格更新に関する案内 文書の送付、メールマガジンの配信等ができなくなりますのでご注意ください。 〇『DCプランナー専用サイト』基本メニュー内 登録情報変更(住所変更な ど)のコーナー( https://dcplanner.cloud-cafe.club/ ) ※ 1級および2級DCプランナーとして資格をご登録いただいている方の 専用サイトです。 同サイトのご利用に当たっては、最初に別途メールアドレス等をご登録 いただく必要があります。 ※ ご連絡の際は、「資格登録情報も合わせて変更する」ボタンをクリック してください。 〇『商工会議所検定試験サイト』DCプランナー 登録情報変更連絡コーナー ( http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact ) ※ 『DCプランナー専用サイト』に未登録の方は、こちらからご連絡くだ さい。 ◆◆━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━◆◆ 次号(第326号)は、6月15日(水)に送信予定です。 ─────────────────────────────────── 【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】 編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター ─────────────────────────────────── このメールマガジンの内容に関するご意見・ご感想は、編集部までお寄せ ください。 E-Mail:nenkin@jcci.or.jp ─────────────────────────────────── 《禁・無断転載》 このメールマガジンの著作権は、上記の発行者に帰属します。 ───────────────────────────────────