◆◇◆━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━◆◇◆ 》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《 第329号(2016.8.1) 日本商工会議所 商工会議所年金教育センター ◆━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━◆ 〉〉〉CONTENTS〈〈〈 ─────────────────────────────────── 【企業年金あれこれ】 1〉「企業年金と日銀のマイナス金利政策」(全3回) 第3回 金融情勢をにらみながら国債離れを徐々に加速へ ─────────────────────────────────── 【各種のデータ】 2〉確定拠出年金の施行状況(平成28年6月30日現在)~厚生労働省調べ ─────────────────────────────────── 3〉厚生労働省からのお知らせ「個人型確定拠出年金の愛称の募集」 ─────────────────────────────────── 4 〉大阪で開催する勉強会のご案内 「第9回 ホンネで語り合う企業年金事情」 ─────────────────────────────────── 【日本商工会議所からのお知らせ】 5〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて ─────────────────────────────────── このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試 験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。 ◆◇───────────────────────────────◇◆ ■━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 1〉「企業年金と日銀のマイナス金利政策」(全3回) 第3回 金融情勢をにらみながら国債離れを徐々に加速へ 久保 俊一 ─────────────────────────────────── 日銀のマイナス金利導入から半年近くが経ちました。日本の長期国債の金利 はマイナスに沈み、満期まで保有すれば必ず損失が発生する状態にあり、国内 の機関投資家は国債への投資を減らす動きを強めています。 【銀行、生保などが対応進める】 最近、金融市場で大きな注目を集めたのが三菱東京UFJ銀行による国債入 札の特別資格(プライマリー・ディーラー)の返上です。国債の発行・消化を 円滑にするための制度で、特別資格には応札に関連した特別な地位と同時に、 一定額の落札が義務付けられています。マイナス金利の環境下では、落札業務 をすべて履行するのは大きな負担と判断した同行はこの資格を返上しました。 メガバンク3行はこれまでも金利水準の低い国債の保有を抑制していました。 今回の特別資格の返上は、国債への投資抑制の姿勢を一段と鮮明にしました。 大手生保は企業年金などに一定の運用利回りを保証する「確定給付年金」の 新規引き受けを停止するほか、契約時にまとめて保険料を払い込む一時払い終 身保険商品について「予定利率」を下げ、実質的な保険料の引き上げに動いて います。いずれも長期国債を中心とした運用が難しくなってきたからで、生保 ・損保は今年度、国債投資を減らすと予想されています。 昨年3月末時点で国内債券に資産全体の27%を投資している企業年金もマイ ナス金利の対応を進めています。「年金情報」の報道などによると、武田薬品 企業年金基金はこのほど、債券運用を大幅に見直し、ベンチマーク(BM) に基づく従来型の債券運用の割合を減らし、BMに縛られない運用を拡大、同 時に債券代替投資として保険戦略を新規に採用しました。一部の商社では国債 の比率を下げ、その分を「現金」にシフトし、様子を見る考えです。他の企業 年金でも対応は徐々に進んでいますが、全体としては新たな動きは他の機関投 資家に比べゆっくりしています。 その理由は二つあります。まず、金利水準がすでに低かった国債について他 の資産へのシフトが進んでいたことです。具体的には、相対的に金利水準が高 い米国の国債・社債、新興国の国債・社債(いずれも為替変動は先物取引でヘ ッジ)、内外の不動産、高いスキルで収益を稼ぐ仕組みのヘッジファンドなど への投資が行われています。 2番目の理由は、マイナス金利が当面続くとの予測です。金利水準がマイナ スの国債を満期保有すれば損失が発生しますが、マイナス幅が拡大する局面で は債券価格は上昇し、マイナス金利下の国債であっても一時的に収益を得られ る可能性があります。日本の10年物国債の利回りは2月以降、マイナス水準に ありますが、マイナス幅が拡大しているため、2016年度に入ってからの国内債 券の利回りはプラス1.98%(NOMURA-BPI総合、7月26日現在)で推移していま す。先行きの予測は難しいですが、市場では当面、金利の下落傾向が続くとの 観測が支配的であり、多くの企業年金では国債の売却についてタイミングをう かがっているようです。 【受託者責任も企業年金の国債離れを促す】 企業年金は通常、複数の資産に分散投資します。内外株式、内外債券の4資 産がその中核ですが、マイナス金利下にある日本国債への投資は遠くない将来、 資産全体の利回りを押し下げる方向に働くのは確実と見られます。逆に、何ら かのきっかけで金利が急上昇すると債券価格が下落し、大きなマイナスのリタ ーンになる可能性にも留意する必要があり、今の国債は魅力に乏しい資産と言 えます。 企業年金は加入者や受給者に対して、忠実義務や善管注意義務などの受託者 責任を負っています。満期まで保有すればマイナスの利回りになる国債を保有 する場合、加入者や受給者に納得のいく説明が必要です。このため、日本国債 への投資を減らす動きが今後、金融情勢次第で加速する可能性があります。た だ、株式など変動リスクの大きい資産へのシフトには総じて慎重です。運用担 当者は極めて限られた選択肢の中、工夫が求められています。 以上のように資産運用の環境はかなり厳しい状況ですが、第1回でも述べた ように企業年金の足元の財政状況は非常に良い状態です。2015年度末時点の年 金資産は年金債務(責任準備金)に対して1.2倍(推計)です。予定利率は平均 2.5%と歴史的に低く、運用目標である期待収益率も低く設定されています。 こうした点は企業年金を運営する上では大きな強みであり、リーマンショック 後などに体験した深刻な財政悪化が再来する可能性は低いと言えるでしょう。 執筆者紹介 久保 俊一 公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構 特任研究員 1974年に日本経済新聞社に入社。 記者、デスクなどを経て2002年3月に日本経済新聞企業年金基金の 事務局長、2007年3月に常務理事兼運用執行理事、2015年4月に理事長。 2016年4月から現職。 ■━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 2〉確定拠出年金の施行状況(平成28年6月30日現在)~厚生労働省調べ ─────────────────────────────────── 厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の データについて、その内容を以下にご紹介します。 アドレスは、こちらです。 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html (1)承認規約数 5,033件 (2)加入者数 約5,785千人(平成28年5月末現在 速報値) (3)実施事業主数 23,225社 ◆個人型年金の加入者等(平成28年5月末現在) (1)第1号加入者 71,480人 (2)第2号加入者 193,503人 (3)合 計 264,983人(資格喪失者を除く) (4)事業所登録 162,513事業所 ◆登録運営管理機関 198社 ■━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 3〉厚生労働省からのお知らせ 「個人型確定拠出年金の愛称の募集」 ─────────────────────────────────── 確定拠出年金法の改正(本年5月24日成立、6月3日公布)により、個人型 確定拠出年金制度は、来年1月より加入者範囲が拡大され、基本的に全ての国 民が加入できるようになります。これにより、生涯にわたって切れ目なく老後 に向けた更なる自助努力が可能となりますが、本制度が国民に広く利用される ようになるためには、本制度の認知度を高めていく必要があります。 そのため、本制度の普及推進等を図ることを目的として、関係団体等により 確定拠出年金普及・推進協議会が設置され、第1回協議会において個人型確定 拠出年金の愛称を募集することが決定されました。 応募期間は、8月1日(月)から8月21日(日)までです。応募いただいた 愛称につきましては協議会に設けられた愛称選定委員会において選定されます。 個人型確定拠出年金の愛称募集の詳細につきましては、確定拠出年金普及・ 推進協議会のHP(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000131308.html)を ご覧ください。 ■━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 4〉大阪で開催する勉強会のご案内 「第9回 ホンネで語り合う企業年金事情」 ─────────────────────────────────── 下記のとおり大阪で勉強会を開催いたします。 厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金等、各企業年金の動向や現 場の動き、実際の改革事例、退職給付会計の動向、基金やDBの資産運用動向、 DC投資教育の動向、諸外国の年金動向など幅広い内容をもとに、年金基金の 担当の方、企業の人事・労務担当の方、財務部門の方、事業主の方、運用機関 の方、コンサルタント等、それぞれの立場から自由に意見を語り合える場にも してまいります。企業年金にご関心のある方のご参加をお待ちしております。 ◆日 時:9月17日(土)18:00~20:00 (受付開始17:45) ◆会 費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後にお知らせいたします) ◆講 師:登録講師 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー) ◆会 場:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター) 大阪府大阪市中央区大手前1丁目3番49号 【アクセス】 http://www.dawncenter.jp/top/index.jsp ◆定 員:15名(先着順) ◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会 ◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお申込みください。 http://benkyou-j.com/study/detail.php?sid=200 ■━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 5〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて ─────────────────────────────────── DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した 場合は、お手数ではございますが以下のいずれかのサイトから登録情報の変更 をご連絡ください。ご連絡をいただかないと、情報誌や資格更新に関する案内 文書の送付、メールマガジンの配信等ができなくなりますのでご注意ください。 〇『DCプランナー専用サイト』基本メニュー内 登録情報変更(住所変更な ど)のコーナー(https://dcplanner.cloud-cafe.club/) ※ 1級および2級DCプランナーとして資格をご登録いただいている方の 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