◆◇◆━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━◆◇◆ 》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《 第345号(2017.4.3) 日本商工会議所 商工会議所年金教育センター ◆━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━◆ 〉〉〉CONTENTS〈〈〈 ─────────────────────────────────── 【企業年金あれこれ】 1〉「企業年金の直面する課題」(全3回) 第2回 DBの持続性を高めるリスク分担型企業年金の登場 ─────────────────────────────────── 【各種のデータ】 2〉確定拠出年金の施行状況(平成29年2月28日現在)~厚生労働省調べ ─────────────────────────────────── 【勉強会の開催情報】 3〉東京で開催する勉強会のご案内 「平成29年の年金改正事項の解説」(再掲) ─────────────────────────────────── 【日本商工会議所からのお知らせ】 4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて ─────────────────────────────────── このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試 験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。 ◆◇───────────────────────────────◇◆ ■━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 1〉「企業年金の直面する課題」(全3回) 第2回 DBの持続性を高めるリスク分担型企業年金の登場 久保 俊一 ─────────────────────────────────── バブル経済崩壊後の四半世紀は企業年金にとって受難の時代でした。日本の 株価急落を引き金に、企業年金の財政状態が急速に悪化、何度も母体企業と一 緒になって制度改革に取り組み、厳しい環境を乗り切ってきました。そうした 度重なる努力と2012年暮れに始まったアベノミクス効果で、足元の確定給付企 業年金(DB)の財政状況は改善していますが、株価など市場変動に左右され やすい構造は変わっていません。 この課題を解決するための選択肢として、今年1月に登場したのが「リスク 分担型企業年金」です。資産運用の変動リスクは年金額の増減で調整し、企業 に掛金の追加負担を求めないという制度で、採り入れれば、企業が抱える年金 運用のリスクは大幅に軽減すると期待されています。 <リーマンショックで危機感、再び高まる> 最初に企業年金の歴史を簡単に振り返っておきましょう。日本では1962年に 税制適格退職年金、1966年に厚生年金基金の制度がそれぞれ始まりました。 当時は高度成長期の真っただ中で、資産運用に大きな問題はありませんでした。 景色が変わったのは1990年のバブル経済崩壊後です。株価は下落基調に陥り、 国債などの長期金利も徐々に下がり、企業年金の資産運用で稼ぐ力は急速に衰 えました。当時の予定利率は5.5%だったのですが、その利回りを達成できず、 不足金が膨らむ状態でした。母体企業も本業の稼ぐ力が弱まりました。1997年 秋には大企業の経営破たんが相次ぎ、企業をスポンサーにした企業年金の持続 性に赤信号が灯りました。 厚生労働省は1997年に厚生年金基金に対する財政検証を強化し、継続基準と は別に、非継続基準を導入しました。企業年金が解散・終了した場合でも過去 の加入期間に応じて発生している、または発生しているとみなされる給付の現 価に見合う資産額が保有されているかどうかを検証する制度です。厚生労働省 は企業年金の“破たん”を想定することにしたわけです。 さらに、固定されていた予定利率の弾力化、確定拠出年金(DC)の創設、 適格退職年金の制度廃止、厚生年金基金の代行返上、確定給付企業年金の創設 など制度改革が集中的に実行されました。こうした対策の効果で企業年金の持 続可能性は高まりましたが、その後、リーマンショックが企業年金を直撃しま した。資産が年金負債を大きく割り込む事態に追い込まれ、再び、年金関係者 の間に危機感が広がりました。 <「日本再興戦略」でハイブリッド型が提案される> 不安定な企業年金の財政構造を踏まえて政府は『「日本再興戦略」改訂2015』 の中で「運用リスクを事業主と加入者で柔軟に分け合うことが出来るようなハ イブリッド型の企業年金制度の導入や、将来の景気変動を見越したより弾力的 な運営を可能にする措置について検討し、本年中に結論を得る」との方針を打 ち出しました。これを受けて厚生労働省は、社会保障審議会企業年金部会に 「確定給付企業年金の拠出弾力化」と「リスク分担型企業年金」を柱とした改 革案を提示、審議を経て今年1月の導入が実現しました。 リスク分担型企業年金は、リスク対応掛金の拠出を前提に設計されており、 企業は20年程度に一度の損失にも耐えられる水準のリスク対応掛金を算出、 負担し、企業年金の財政基盤を強化します。仮に、相場変動が想定を上回り、 リスク対応掛金で設けた財政上のバッファーを超えて資産が減少した場合、 給付水準を引き下げ、財政をバランスさせます。逆に、想定より運用利回りが 良ければ給付を引き上げます。その結果、年金財政は安定し、企業は掛金を固 定できるため、企業会計上は確定拠出年金として認識されます。 <新制度への関心は高いが、検討はまだ今後の段階> 全国の主要な確定給付企業年金で構成する企業年金連絡協議会が今年1月に 実施したアンケート(回答企業年金は318)によると、リスク分担型企業年 金への関心度を聞いた質問に対し、84企業年金が「ある」と回答しました。 一方、検討意向に関する質問については「導入方向で検討したい」が3企業年金、 「導入の可否の検討を進めたい」が12企業年金にとどまりました。現状では、 興味・関心はあるが、具体的な検討などはこれからという段階です。 リスク分担型企業年金は制度として複雑でやや難解です。運用の結果次第で 年金額が変動するため、加入者を交えた年金ガバナンスの確立も不可欠です。 従来の枠を超えた今回の新制度には導入・運営にあたっての課題が少なくあり ませんが、企業にとって導入効果が大きいのも事実であり、今後の動向が注目 されます。 本稿における意見に関する部分は、筆者個人の見解であり、所属する組織・ 法人のものではありません。 *執筆者紹介 久保 俊一 公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構 特任研究員 ■━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 2〉確定拠出年金の施行状況(平成29年2月28日現在)~厚生労働省調べ ─────────────────────────────────── 厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の データについて、その内容を以下にご紹介します。 アドレスは、こちらです。 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html ◆企業型年金の規約数等 (1)承認規約数 5,262件 (2)加入者数 約5,907千人(平成29年1月末現在 速報値) (3)実施事業主数 25,265社 ◆個人型年金の加入者等 (1)第1号加入者 81,682人 (2)第2号加入者 293,286人(うち共済組合員 32,017人) (3)第3号加入者 3,981人 (4)合 計 378,949人 (5)事業所登録 207,968事業所 ◆登録運営管理機関 205社 ■━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 3〉東京で開催する勉強会のご案内 「平成29年の年金改正事項の解説」(再掲) ─────────────────────────────────── ◆内 容 平成29年の年金の改正事項には、1月から日本年金機構マイナンバーの取扱 の開始、個人型DCの加入範囲の拡大、4月からの年金額のマイナス改定、 8月からの受給資格期間の短縮と変更事項と、盛りだくさんです。 本勉強会では、年金の改正事項および、昨年12月に成立した年金カット法と いわれた年金改革法等の改正内容と今後の影響についてわかりやすく解説します。 ◆日 時:4月25日(火)18:30~20:30(受付18:10~) ◆会 費:3,500円(会場にて申し受けます) ◆講 師:松村 正明 社会保険労務士 CFP ◆会 場:エムワイ貸会議室高田馬場 東京都新宿区高田馬場1-29-9 TDビル http://meijiyasuda-life-hall.com/kashikaigishitsu-takadanobaba/access.html ◆定 員:45名(先着順) ◆申込み:Eメールにて、タイトルに「4月25日勉強会参加希望」と記載し、 お名前、所属につきまして以下アドレスにお送りください。 admin@globalmind.co.jp ◆幹 事:みなとグローバル研究会 (旧:企業実務研究会) 事務局 大高 直美 ■━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて ─────────────────────────────────── DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した 場合は、お手数ではございますが以下のいずれかのサイトから登録情報の変更 をご連絡ください。ご連絡をいただかないと、情報誌や資格更新に関する案内 文書の送付、メールマガジンの配信等ができなくなりますのでご注意ください。 〇『DCプランナー専用サイト』基本メニュー内 登録情報変更(住所変更な ど)のコーナー(https://dcplanner.cloud-cafe.biz) ※ 1級および2級DCプランナーとして資格をご登録いただいている方の 専用サイトです。 同サイトのご利用に当たっては、最初に別途メールアドレス等をご登録 いただく必要があります。 ※ ご連絡の際は、ご登録の情報を修正後「資格登録情報も合わせて変更す る」ボタンをクリックしてください。 〇『商工会議所検定試験サイト』DCプランナー 登録情報変更連絡コーナー (http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact) ※ 『DCプランナー専用サイト』に未登録の方は、こちらからご連絡くだ さい。 ◆◆━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━◆◆ 次号(第346号)は、4月17日(月)に送信予定です。 ─────────────────────────────────── 【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】 編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター ─────────────────────────────────── このメールマガジンの内容に関するご意見・ご感想は、編集部までお寄せ ください。 E-Mail:nenkin@jcci.or.jp ─────────────────────────────────── 《禁・無断転載》 このメールマガジンの著作権は、上記の発行者に帰属します。 ───────────────────────────────────