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》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《
第294号(2015.2.15)
商工会議所年金教育センター
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〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【連載記事】
1〉「今さら人には聞けない 年金財政・年金数理『超』入門」(全2回)」
第1回 現価計算が分かれば年金がわかる
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【勉強会の開催情報】
2〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています。
「ホンネで語り合う企業年金事情 」
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3〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています。
「勤労者とその家族のライフをサポートするために
投資信託会社をつくった労働組合の活動紹介」(再掲)
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉商工会議所年金教育センターのホームページ閉鎖のご案内
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5〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「今さら人には聞けない 年金財政・年金数理『超』入門」(全2回)」
第1回 現価計算が分かれば年金がわかる
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2014年7月および2015年1月に開催され大好評を博した「今さら人には聞け
ない 年金財政・年金数理」勉強会。今回は、過去2回分の勉強会で取り扱っ
た内容のエッセンスを、余すところなくお届けいたします。
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◆なぜいちいち現価計算するのか
私が企業年金の世界に入って年金財政・年金数理を学びはじめて、最初につ
まずいたのが、現在価値(現価)の概念でした。単利と複利の違いは難なく分
かりましたし、将来価値(終価)については、「現在の1万円を年2%で運用
すると、1年後には1万2百円になる」という貯蓄と同じ発想の説明には、何
ら違和感を覚えませんでした。
ところが、現価となると、「1年後の1万円を年2%で現在価値に置き換える
と、約9,804円になる」と説明されても、当初はなかなか理解できませんでした。
出てくる数字の切りの悪さも災いしたのかもしれません。最終的には、「終価は
掛けて(乗じて)求めるのだから、現価は逆に割る(除する)と求められるの
だな」と捉えて、「現在の約9,804円を年2%で運用すると、1年後には1万円
ちょうどになる」と強引に理解したものです。しかし、「10年後に1万円が必要
になるのであれば、つべこべ言わずにキッチリ1万円用意しておけばいいのに」
「なぜいちいち現価計算しなければならないのか」という疑問は、しばらく頭
から離れませんでした。
◆金利が存在しない世界で考える
突然ですが、時は金なり(Time is money.)ということわざがあります。一般
的には、「時間はお金と同様に貴重なものだから、決して無駄にしてはいけない」
という意味で用いられますが、経済・金融の世界では、「時間は利息を生む」
「今日のお金は明日のお金よりも価値がある」という意味で良く用いられてい
ます。
さて、ここでは、金利の有り難さを知るために、あえて「金利が存在しない世
界」を想定してみます。例えば、「期初に年額1を10年間支給する年金制度」の
現価を計算する場合、金利を考慮しなければ、
「1+1+1+1+1+1+1+1+1+1=10」となります。
年額1を10年間支給するのであれば、給付原資(現価)は1×10=10で良いと
いうのは、何ともシンプルな考え方ですね。
ところが、金利(例えば年3%複利)を考慮して現価計算を行うと、
1÷(1+0.03)^0
+ 1÷(1+0.03)^1
+ 1÷(1+0.03)^2
+ 1÷(1+0.03)^3
+ 1÷(1+0.03)^4
+ 1÷(1+0.03)^5
+ 1÷(1+0.03)^6
+ 1÷(1+0.03)^7
+ 1÷(1+0.03)^8
+ 1÷(1+0.03)^9
= 8.7861
となり、金利を考慮しない場合の現価(10)と比べると、約1.2139少なくな
ります。同じ給付(期初に年額1を10年間支給)を行う制度であっても、金利
を考慮するかしないかで、現時点で準備しておくべき金額(現価)はかくも異
なってきます。
◆現価係数表や年金現価係数表は「1」を軸に考える
縦軸に運用期間を、横軸に利回りをとっている「現価係数表」や「年金現価
係数表」は、DCプランナー試験ではお馴染みの存在です。とはいえ、意味もな
く眺めただけでは、無味乾燥な数字の羅列に過ぎません。
現価係数表や年金現価係数表を意味のある情報として捉えるためにオススメ
したいのが表の一番上の行に「運用期間0年」を、表の一番左の列に「運用利
回り0%」をそれぞれ挿入することです。試しに、下記の現価係数表をご覧く
ださい。
<表1>現価係数表 ※期初払い
0% 2% 4%
0年 1.0000 1.0000 1.0000
1年 1.0000 0.9804 0.9615
2年 1.0000 0.9612 0.9246
3年 1.0000 0.9423 0.8890
4年 1.0000 0.9238 0.8548
5年 1.0000 0.9057 0.8219
6年 1.0000 0.8880 0.7903
7年 1.0000 0.8706 0.7599
8年 1.0000 0.8535 0.7307
9年 1.0000 0.8368 0.7026
────────────────────────
合計 10.000 9.1622 8.4353
上記の現価係数表では、表の上端と左端に「1.0000」すなわち「1」を挿入
することにより、表を上から下に眺めると「運用期間が長くなるほど現価が小
さくなる」ことが、表を左から右に眺めると「利回りの水準が高くなるほど現
価が小さくなる」ことが、直感的に把握できるようになります。
一方、「利回り0%」の場合、すなわち金利が存在しない世界では、運用期
間をいくら長くみても、現価は1のまま変わらないことが確認できます。
◆収入・支出を「未来永劫」「将来にわたり」見込むことは可能か
年金財政の世界では、将来の掛金収入や年金給付を「未来永劫」「将来にわ
たり」見込むこととされています。しかし、そのようなことが実際に可能なの
でしょうか、無尽蔵に準備しなければならず、際限がないのではないでしょう
か。
そのような疑問に応えるため、先ほど現価係数表で使った技を、今度は年金
現価係数表で活用してみましょう。下記の表をご覧ください。
<表2>年金現価係数表 ※期初払い
0% 2% 4%
1年 1.0000 1.0000 1.0000
2年 2.0000 1.9804 1.9615
3年 3.0000 2.9416 2.8861
4年 4.0000 3.8839 3.7751
5年 5.0000 4.8077 4.6299
10年 10.0000 9.1622 8.4353
20年 20.0000 16.6785 14.1339
30年 30.0000 22.8444 17.9837
40年 40.0000 27.9026 20.5845
50年 50.0000 32.0521 22.3415
無限大 無限大 51.0000 26.0000
年金現価係数は現価係数の累計したものなので、基本的には、運用期間が長
くなるほど年金現価係数は大きくなります。しかし表1で見たとおり、現価係
数は運用期間が長くなるほど小さくなるため、その累計値である年金現価係数
は、運用期間が長くなるに連れて増加幅は次第に逓減し、最終的(理論的)には
一定水準で頭打ちになります。表2の最終行(運用期間:無限大)は利回り2%
の場合は「51」、利回り4%の場合は「26」の年金原資があれば、年額1の給
付を未来永劫にわたり支給することが理論上可能であることを示しています。
一方、「利回り0%」の場合、すなわち金利が存在しない世界では、運用期
間が長くなるに連れて、給付原資を際限なく準備しなければならないことが確
認できます。
◆まとめ・・・「ややこしさ」と「お買い得感」は表裏一体
現代の資本主義経済下では、元本が利息を生む(=時間が金を生む)という
「時間価値」と、金利は常にプラスに推移するという「非負制約」の2つが大
前提となっています(近年はマイナス金利も囁かれていますが)。
年金制度ではなぜ現価計算をしなければならないのか
それは、金利が存在するが故に、その力を活用して「少ない元手」かつ「有
限」で年金原資の準備ができるからにほかなりません(税務上は「過大損金算
入防止」という観点もありますが)。
まとめると、現価計算の「ややこしさ」と、少ない元手で準備可能という
「お買い得感」は、いわば表裏一体と考えて良いでしょう。もっとも、お買い
得でさえあれば何でも良いというものでもなく、適正な予定利率の設定には合
理性も併せ持つ必要があります。
*執筆者紹介
谷内 陽一 (たにうち よういち)
りそな銀行 信託ビジネス部 りそな企業年金研究所 担当マネージャー
1級DCプランナー、社会保険労務士、証券アナリスト(CMA(R))
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2〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています。
「ホンネで語り合う企業年金事情 」
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厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金等、各企業年金の動向や現
場の動き、実際の改革事例、退職給付会計の動向、基金やDBの資産運用動向、
DC投資教育の動向、諸外国の年金動向、税制改正大綱から見る改正動向等最
新トピックスなど幅広い内容をもとに、年金基金の担当の方、企業の人事・労
務担当の方、財務部門の方、事業主の方、運用機関の方、コンサルタント等、
それぞれの立場から自由に意見を語り合える場にもしてまいります。
企業年金にご関心のある方のご参加をお待ちしております。
◆日 時:平成27年3月14日(土)15:00~17:00 (受付開始14:45)
◆講 師:企業実務研究会大阪支部 登録講師
1級企業年金総合プランナー(DCプランナー)
◆会 費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後お知らせいたします)
◆会 場:追手門学院大阪城スクエア 6階 大手前ホールB
大阪市中央区大手前1-3-20
(追手門学院大手前中・高等学校本館6階)
会場へのアクセス
http://www.otemon-osakajo.jp/outline/index.html
◆定 員:25名(先着順)
◆幹 事:企業実務研究会 大阪支部
◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお願いします。
http://www.benkyou-j.com/study/detail.php?sid=188
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3〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています。
「勤労者とその家族のライフをサポートするために
投資信託会社をつくった労働組合の活動紹介」(再掲)
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2月1日付のメルマガでご案内しましたように大阪で勉強会を開催します。
定員にまだ余裕がありますので、参加を希望される方は、お早めにお申し込
みください。
セイコーエプソン労働組合は“Life Up UNION”というスローガ
ンのもと、「組合員一人一人が充実した人生を実現するためのサポーター」を
組織の使命として、3つのライフ(生命・人生・生活)の向上支援活動を行っ
ています。「組合員が充実した人生を実現し、会社・社会の発展に貢献してい
る」状態をありたい姿とし、国や企業に依存するのではなく個々人が経済的・
精神的自立を果たし、さらには助け合う・支え合う社会の実現を目指していま
す。賃上げ一辺倒の活動から脱却し、ありたい姿実現のために、投資信託会社
を設立した経緯や志および特徴的な活動を紹介いたします。“天馬空を行くが
ごとく型破りで規格外”と言われている元暴走族リーダーが講師として熱く語
ります。
東京勉強会でも大変評判が高かった講義です。
皆様のご参加をお待ちしております。
◆日 時:平成27年3月1日(日)15:00~17:00(受付14:45~)
◆会 費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後お知らせいたします)
◆講 師:清水 学(しみず まなぶ)氏
セイコーエプソン労働組合 外務局長
ファイナンシャル・プランナー
福岡大学経済学部 非常勤講師
ユニオン投信株式会社 取締役(運用部担当)
◆会 場:追手門学院大阪城スクエア 6階 大手前ホールB
大阪市中央区大手前1-3-20
(追手門学院大手前中・高等学校本館6階)
会場へのアクセス
http://www.otemon-osakajo.jp/outline/index.html
◆定 員:25名(先着順)
◆幹 事:企業実務研究会 大阪支部
◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお願いします。
http://www.benkyou-j.com/study/detail.php?sid=187
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉商工会議所年金教育センターのホームページ閉鎖のご案内
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皆様にご利用いただいてきました、商工会議所年金教育センターのホーム
ページにつきましては、平成26年12月末を持って閉鎖いたしました。
なお、本メールマガジンのバックナンバー、1級試験対策の答案練習シリー
ズ、企業年金に関する勉強会情報等につきましては、日本商工会議所の検定
ホームページ内(DCプランナーコーナー)に順次移行予定ですが、移行終了
までの期間、閲覧が出来なくなりますのでご了承ください。
詳細につきましては、決まり次第、改めて本メールマガジン等でご案内いた
します。
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5〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが以下の連絡先まで、メールかFAXにて、
ご連絡いただきますようお願いいたします。
なお、FAXにてご連絡いただく場合は、併せて受信確認の電話をお願い
いたします。
変更のご連絡がない場合、メールマガジンや会報、資格更新のご案内など
に関する連絡文書等が届かなくなりますので、必ず手続きをお願いいたしま
す。
※このメールは送信専用のメールアドレスから配信されています。
住所変更等のご連絡につきましては、必ず以下の連絡先にお願いいたし
ます。
≪手続き・ご連絡先:検定支援センター≫
E-Mail:kentei@msa.biglobe.ne.jp
FAX:03-3402-7966
TEL:03-3402-2109
◆◆━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━◆◆
次号(第295号)は、3月1日(日)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】
編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター
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このメールマガジンの内容に関するご意見・ご感想は、編集部までお寄せく
ださい。
E-Mail:nenkin@jcci.or.jp
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《禁・無断転載》
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