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  》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《

                         第301号(2015.6.1)
                           日本商工会議所
                     商工会議所年金教育センター

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          〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【企業年金あれこれ】
1〉「確定拠出年金法等の改正案のまとめ」(全2回)
   第2回 ライフコースの多様化への対応や
                  運用の改善の促進を図るために
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【勉強会の開催情報】
2〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています。
  「ホンネで語り合う企業年金事情 2015春期」(再掲)
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【各種のデータ】
3〉確定拠出年金の施行状況(平成27年4月30日現在)~厚生労働省調べ
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「確定拠出年金法等の改正案のまとめ」(全2回)
   第2回 ライフコースの多様化への対応や
                  運用の改善の促進を図るために
                           飯野 厚子
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 前回は、「確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」の「(1) 企業年金の
普及・拡大のための改正」について見てきました。今回はその続きとして、
「(2) ライフコースの多様化への対応のための改正」「(3) 確定拠出年金の運
用改善の促進のための改正」および「(4) その他」についての概要を見ていき
たいと思います。

(2) ライフコースの多様化への対応のための改正
 老後の所得確保に向けた継続的な自助努力を行う環境を整備するために、
「個人型DC加入者の範囲の拡大」と「制度間で年金資産の持ち運び(ポータ
ビリティ)を拡充」することが盛り込まれました。

 現在個人型DCは、第1号被保険者及び第2号被保険者のうち企業年金がな
い会社員のみが加入できる仕組みですが、今回の改正案では全被保険者が個人
型DCに加入できる道が開かれることになりました。これにより、会社員の勤
務先が変わっても、公務員や第3号被保険者となったとしても、途切れること
なく継続してDC制度での拠出が可能となります(平成29年1月1日から実施の
予定)。 

 また、企業型DCの規約に定めた場合には拠出限度額の制限はありますが、
企業型DC加入者であっても、個人型DCへ加入できることが盛り込まれま
した。

 同時に、制度間で年金資産の持ち運び(ポータビリティ)を拡充するため
に、新たに、DCからDBへの資産移換および中小企業退職金共済と企業型
DC間での資産移換ができることが盛り込まれました(当該改定の施行日は、
公布の日から2年以内において、政令で定められる日となります)。

(3) 確定拠出年金の運用改善の促進のための改正
 加入者の投資知識等の向上を図るとともに、運用商品提供数の抑制等の措置
を講ずることにより、運用商品をより選択しやすい環境を整備することも盛り
込まれました。

 DC制度は、老後までの間の運用が将来の給付を左右するため、加入者個人
の運用商品の選択が重要となっています。導入時の投資教育実施は、企業の努
力義務とされている一方、継続投資教育は、配慮義務となっていることから、
投資知識を継続的に得る機会が恵まれているとは限りません。継続教育を受け
ていない加入者が、一定数存在している可能性も指摘されています。その点を
改善するために、今回の法律案に継続投資教育について努力義務とすることが
盛り込まれました。企業は継続投資教育が努力義務となったことで負担が増え
ることになりますが、効果的な継続投資教育を行うことで加入者の投資知識の
向上が図られ、制度の充実した運用が可能となることが期待されます。

 今回の法律案において、運用商品提供数についても触れられています。商品
提供数について一定の制限を設けることにより、運用商品の厳選を促すことと
されています。具体的な数は政令で定めるとされているので、現時点ではコメ
ントがし難いのですが、審議会では例示として10本が話題となっており、現在、
運用商品提供数の平均は18本程度であるので、多少、当該提供数は削減の方向
で動くことになるものと思われます(施行日前の運用商品については、制限の
対象外となります)。

 また、新たに設定された運用商品は、信託報酬率が下がっている傾向がある
ため、同じインデックスのパッシブファンドであれば、より報酬が廉価なもの
に入れ替えたいというニーズはありますが、現行では運用商品を除外する際は
商品選択者全員の同意が必要で、商品の入れ替えが事実上極めて困難となって
います。

 今回、運用商品の除外(入れ替え)の手続きとして、商品選択者の一定割合
(3分の2)以上の同意で可能とできることが盛り込まれました(ただし、施
行日前の運用商品の除外については、従前どおり全員同意の取得を要します)。

 また、デフォルトファンドとは、加入者が掛金の運用割合を指定しなかった
場合に自動的に配分される運用商品のことですが、デフォルトファンドに関す
る法令上の規定がないことから、新たに「デフォルトファンドの規定整備」が
措置されます。また、デフォルトファンドの9割が定期預金という実態があり、
指定運用方法として分散投資効果が期待できる商品設定を促す措置が盛り込ま
れました(当該改定の施行日は、いずれも、公布の日から2年以内において、
政令で定められる日となります)。

(4) その他
 個人型DCの加入可能範囲の拡大に伴い、国民年金基金連合会が行う業務に
「啓発活動及び広報活動を行う事業」が追加され、企業年金連合会への投資教
育の委託ができること、およびDBからDCへ資産を移換する際の同意要件の
緩和も盛り込まれました。

 また、運営管理機関の委託に係る事業主の努力義務として、委託する運営管
理機関を5年ごとに評価し、検討を加え、必要に応じてこれを変更すること等
が盛り込まれました。これにより、実際にどの程度の見直しが行われるのか予
測が難しいところですが、運営管理機関のサービス全般の向上が期待されます。

 今国会の会期の終了日は平成27年6月24日ですが、今国会には、改正労働基
準法等、厚生労働省からも重要法律案が多く提出されており、本法律案の審議
は、会期後半にずれ込む見通しのようです。

 それ以外にも安全保障関連法案等、重要法案が目白押しで、これから国会審
議の動向に目が離せない状況です。無事に本法律案が通ることを祈りたいと思
います。

*執筆者紹介
 飯野 厚子
 退職給付会計対応、グローバルの年金ガバナンス対応、DC制度の導入や
 資産運用業務を経て、現在はDC制度の事務などに従事
 日本証券アナリスト協会 検定会員

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2〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています。
  「ホンネで語り合う企業年金事情 2015春期」(再掲)
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5月1日付のメルマガでご案内しましたように大阪で勉強会を開催します。

 定員にまだ余裕がありますので、参加を希望される方は、お早めにお申し込
みください。

 厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金等、各企業年金の動向や現
場の動き、実際の改革事例、退職給付会計の動向、基金やDBの資産運用動向、
DC投資教育の動向、諸外国の年金動向など幅広い内容をもとに、年金基金の
担当の方、企業の人事・労務担当の方、財務部門の方、事業主の方、運用機関
の方、コンサルタント等、それぞれの立場から自由に意見を語り合える場にも
してまいります。企業年金にご関心のある方のご参加をお待ちしております。

◆日 時:平成27年6月7日(日)15:00~17:00 (受付開始14:45)

◆会 費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後にお知らせいたします)

◆講 師:企業実務研究会大阪支部 登録講師
     1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)  

◆会 場:追手門学院大阪城スクエア 6階 大手前ホールB
     大阪市中央区大手前1-3-20
     (追手門学院大手前中・高等学校本館6階)
     会場へのアクセス
     http://www.otemon-osakajo.jp/outline/index.html

◆定 員:20名(先着順)

◆幹 事:企業実務研究会 大阪支部 

◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお申込みください
http://www.benkyou-j.com/study/detail.php?sid=192

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3〉確定拠出年金の施行状況(平成27年4月30日現在)~厚生労働省調べ
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 厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の
データについて、その内容を以下にご紹介します。
 アドレスは、こちらです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html

(1)承認規約数     4,645件
(2)加入者数     約5,052千人(平成27年3月末 速報値)
(3)実施事業主数   20,137社

◆個人型年金の加入者等(平成27年3月末現在)
(1)第1号加入者   62,934人
(2)第2号加入者   150,010人
(3)合 計      212,944人(資格喪失者を除く)
(4)事業所登録    132,609事業所

◆登録運営管理機関   196社

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4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが下記の検定情報サイト内、DCプランナー
向けコーナーの『登録情報変更連絡フォーム』からご連絡いただきますよう
お願いいたします。
 住所変更をされていない場合、資格更新に関する案内文書などの郵送物が
届かなくなりますので、ご注意ください。

〇登録情報変更連絡フォーム
 http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact

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 次号(第302号)は、6月15日(月)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】
  
編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター 

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 ください。
  E-Mail:nenkin@jcci.or.jp
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