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》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《

                          第303号(2015.7.1)
                             日本商工会議所
                       商工会議所年金教育センター

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             〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【企業年金あれこれ】
1〉「国会の会期延長におもう」(全2回)
第1回 個人型DCは普及するか
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【勉強会の開催情報】
2〉東京で開催する勉強会の参加者を募集しています。
「マクロ経済スライドの適用に影響される老後生活の変化と
 企業年金の充実」
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【各種のデータ】
3〉確定拠出年金の施行状況(平成27年5月31日現在)~厚生労働省調べ
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「国会の会期延長におもう」(全2回)
第1回 個人型DCは普及するか  村本弘美
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6月24日までの会期で開催されていた第189国会が95日間延長され、会期末は
9月27日となりました。95日もの延長は、過去最長ということです。

会期延長には、安全保障関連法案の確実な成立を期すため、という理由が考
えられますが、企業年金関係者としては、4月3日に国会に提出された確定拠
出年金法等の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という)の行方も気に
なるところです。確定拠出年金法は法の制定時にも、また、掛金の拠出上限の
引上げやマッチング拠出などの法改正においても、国会提出後に継続審議や廃
案となる歴史を繰り返してきているため、制度創設以来の大きな見直しといわ
れている今回の改正法案はすんなり可決されればよいと思っています。

さて、改正法案の主な内容は、大きく分けて制度の普及・拡大策と、運用の
改善の2点が挙げられています。それぞれの具体策を挙げると次のようになっ
ています。

【制度の普及・拡大策】
(1) 個人型DCへの加入可能範囲の拡大
(2) 中小企業向けの対策
(3) ポータビリティの拡充
(4) 掛金限度額の年単位化

【企業型DCでの運用の改善策】
(1) 運用商品の見直し
(2) 継続教育の努力義務化と特定運用方法の法定

今回は制度の普及・拡大策について考えてみたいと思います。
制度の普及・拡大という視点から上記(1) ~(4) を評価すると、総じて目的
は理解できますが、具体策としては焦点がぼやけているのではないか、と思わ
れる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

まず(1) 個人型DCへの加入可能範囲の拡大については、拠出限度額が現状
からさらに2パターン増えており、決してわかりやすくなっていないといった
問題点が指摘できます。しかも(自営業者等の国民年金の第1号被保険者の年
額81.6万円を別にすると)、それぞれの加入者種別ごとに年額27.6万円、24万円、
14.4万円と金額差も小さく、ここまで細かく分ける必要があるのだろうか、と
いう疑問がわきます。また、個人型DCの口座手数料の高さ(国民年金基金連
合会の手数料2,777円のほかに、記録関連運営管理機関手数料4,320円が必要)
については、自動移換者が増える要因の一つとして指摘されているところです
が、今回の法案には何ら触れられていません。イギリスのステークホルダー年
金が資産の1.5%までと法定している点と大きく異なります。

(2) 中小企業向けの対策についても、実効性に疑問があります。そもそもの
問題点は、退職給付制度のある企業の割合が大企業に比べて中小企業の方が低
いということであり、たとえば従業員数(常用雇用者)30~99人の企業規模で
25.9%と3割を切っています。これに対し、企業型DCの簡易的な導入方法
(簡易型DC)と個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度が創設されること
となっています。簡易型DCは、DCを設立する際の事務手続きや運営コスト
が高いという課題に対応するため、従業員(厚生年金被保険者)100 人以下の
企業を対象に、DC導入時の提出書類を簡素化(運営管理機関契約書や資産管
理契約書等の書類を省略して半分以下に)するものです。

また、個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度は、従業員(厚生年金被保
険者)100人以下の企業であれば、個人型DCの加入者に対し事業主が追加的な
掛金拠出(年1回以上)ができるようになります。双方とも発想自体は素晴ら
しいものですが、どのような企業で活用できるのかといったことが具体的にイ
メージし難いのではないでしょうか。

(3) ポータビリティの拡充については、一般的に考えれば、確定拠出年金の
資産を確定給付型に持ち込むことは、その資産を受け入れる確定給付型を実施
する企業側が受け付けないのではないかと思われます。企業合併などの限られ
た場合に活かされる項目なのではないでしょうか。

(4) 掛金限度額の年単位化については、評価のむずかしい項目です。賞与の
支給月などに、毎月の拠出限度額の使い残し分をまとめて拠出することが可能
になるイメージですが、国民年金の第一号被保険者と第三号被保険者以外は、
事業主掛金との関係から拠出限度額を考える必要があり、利用者個々人からす
ると判断が難しい項目になると思われます。逆に、こうした制度を活用するこ
とで、会社拠出の掛金額さえ知らないという層が減っていくという効果はある
かもしれません。

今回の改正については、焦点がぼやけているのではないかという点を挙げま
したが、これらは現行制度を前提に、改正が考えられているためと思われます。
拠出限度額は諸外国(たとえばアメリカの401(k)では、年間51,000ドルか給与
の100%のいずれか低い方)と比べまだまだ低額であり、さらなる検討の余地
が残されていると思います。

*執筆者紹介
村本弘美 フリーライター AFP

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2〉東京で開催する勉強会の参加者を募集しています。
「マクロ経済スライドの適用に影響される老後生活の変化と
企業年金の充実」
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今まで国の年金は、物価や賃金にスライドして年金額が改定されてきました
が、今年からマクロ経済スライドが適用されることになりました。マクロ経済
スライドは、国の年金制度を将来に渡り持続可能な制度とするために取られる
措置です。将来における年金支給が、100年保たれる水準までスライド率を調
整する仕組みで、現役世代の保険料負担を軽減しようとするものです。

マクロ経済スライドでは、物価や賃金スライド率から年間約0.9%前後調整す
るもので、約30年後の国の年金額は、約20%給付が削減される見込みです。
現在価値で計算すると、65歳から90歳まで年金を受け取る場合は、モデル年
金額では66百万円が53万円となり、約13百万円ほど減額され、老後の生活に重
大な影響を及ぼします。現役時代から、自らの老後の生活費をどのように、
どの位の額を準備するべきか、企業年金の充実も含めて解説します。

◆日 時:平成27年7月28日(火)18:30~20:30(受付18:00~)

◆会 費:3,500円(会場にて申し受けます)

◆講 師:田坂 康夫
1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
社会保険労務士・CFP
日本年金学会幹事
LLPグローバル・マインド顧問

◆会 場:港区虎ノ門 第1オカモトヤビル 第一会議室
http://www.okamotoya.com/rental/rentalroom4.html

◆定 員:40名(先着順)

◆お申し込み方法:

Eメールにて、タイトルに「7月28日勉強会参加希望」と
ご入力頂き、お名前、所属、領収書の宛名が異なる場合は
その名称をご記入のうえ、以下のアドレス宛てにお送り
ください。
admin@globalmind.co.jp

◆幹 事:みなとグローバル研究会 虎ノ門勉強会(旧 企業実務研究会)
事務局 大高 直美

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3〉確定拠出年金の施行状況(平成27年5月31日現在)~厚生労働省調べ
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厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の
データについて、その内容を以下にご紹介します。
アドレスは、こちらです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html

(1)承認規約数     4,657件
(2)加入者数     約5,296千人(平成27年4月末 速報値)
(3)実施事業主数   20,200社

◆個人型年金の加入者等(平成27年4月末現在)
(1)第1号加入者   63,610人
(2)第2号加入者   152,007人
(3)合 計      215,617人(資格喪失者を除く)
(4)事業所登録    134,321事業所

◆登録運営管理機関   197社

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4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが下記の検定情報サイト内、DCプランナー
向けコーナーの『登録情報変更連絡フォーム』からご連絡いただきますよう
お願いいたします。
住所変更をされていない場合、資格更新に関する案内文書などの郵送物が
届かなくなりますので、ご注意ください。

〇登録情報変更連絡フォーム
http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact
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次号(第304号)は、7月15日(水)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】

編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター

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ください。
E-Mail:nenkin@jcci.or.jp
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