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》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《

                          第305号(2015.8.1)
                             日本商工会議所
                       商工会議所年金教育センター

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             〉〉〉CONTENTS〈〈〈

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【企業年金あれこれ】
1〉「国会の会期延長におもう」(全2回)
第2回 個人型DCは普及するか
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【勉強会の開催情報】
2〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています
「ホンネで語り合う企業年金事情 2015夏秋期」
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【各種のデータ】
3〉確定拠出年金の施行状況(平成27年6月30日現在)~厚生労働省調べ
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「国会の会期延長におもう」(全2回)
第2回 個人型DCは普及するか  村本弘美
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8月は原爆投下や終戦記念日もあり、戦後70年の節目を意識せざるを得ない
月です。そうした背景もあり、国会審議については安全保障関連法案に注目が
集まっています。一方、衆議院厚生労働委員会では7月末に動きがあり「社会
福祉法等の一部を改正する法律案」「医療法の一部を改正する法律案」が審議
入りしました。これで、厚生労働委員会で審議されていない法案は「労働基準
法等の一部を改正する法律案」(以下「労基法改正法案」)、「確定拠出年金
法等の一部を改正する法律案」(以下「DC法改正法案」)、「勤労青少年福
祉等の一部を改正する法律案」の3つが残されるのみとなりました。今国会で
の法案成立は、労基法改正法案とDC法改正法案のどちらが先に審議されるか
にかかってくることとなりそうです。

さて、前回はDC法改正法案に盛り込まれた二つの内容のうち、「制度の普
及・拡大策」について触れましたが、今回は「企業型DCでの運用の改善策」
について考えてみたいと思います。「企業型DCでの運用の改善策」には
(1) 運用商品の見直し、(2) 継続教育の努力義務化と特定運用方法の法定が盛
り込まれました。

(1) 運用商品の見直しでは、提供が義務づけられていた「元本確保型商品」
が義務から外れました。そもそも、元本確保型商品の提供義務が課された意味
合いは、「国民が安心して確定拠出年金を利用できるようにし、確定拠出年金
に対する国民の信頼が確保できるように」(『日本版401k導入・運営・活用の
すべて』尾崎俊雄・東洋経済新報社)という考え方がありました。その背景に
は、DC制度導入当初、日本の個人金融資産に占める現金・預金の割合が高く
(55%程度)、リスクのある運用商品にはなじみがないだろうという配慮があ
ります。では、この現金・預金偏重の個人金融資産の動向が変化したのかとい
えば、そうともいえず、株高の影響が出ている2015年3月末の個人金融資産残
高に占める現金・預金の割合は52%と、相変わらず5割以上を占めています
(初の1,700兆円台というニュースはご記憶に新しいかと思われます)。では、
導入当初との違いは何かといえば、環境変化があげられます。たとえば、デフ
レ環境からの脱却、公的年金の実質価値の引下げ(マクロ経済スライドの実施)
や企業年金カバー率の低下、それにともなうDC制度による給付の必要性が高
まってきていることなどがあります。

こうした環境変化を受けた、さらに大きな見直しとして、特定運用方法(以
下「デフォルト商品」)の法定化があります。現状、加入者が運用の指図を行
わない場合に購入される商品(以下「未指図商品」)は、多くの場合、定期預
金などの元本確保型商品となっていますが、それをバランス型投資信託等に設
定することが可能となります。この方法には賛否両論あるかと思いますが、諸
外国においては、デフォルト商品をターゲット・デート・ファンド等のライフ
サイクルを意識した運用商品に設定する例が増えています。たとえば、アメリ
カでは401(k)において「デフォルト設定」をターゲット・デート・ファンドと
するプランが増えていますし、イギリスのNEST(National Employment Savings
Trust:国家雇用貯蓄信託)では国をあげて同様の措置をとることとしました。
加入者が「わからないから」「面倒だから」という理由で元本確保型商品に資
産が長期間、放置される点が意識されたということでしょう。

日本においても、DC資産の6割で元本確保型商品が購入されている現状か
ら考えれば、デフォルト商品を法定化する意味はあると思います。ただ、ここ
で否定的な見方をするとしたら、日本におけるデフォルト商品設定の議論が、
イメージ先行になっていないか、という疑問があります。アメリカでは行動経
済学による研究成果の示唆からデフォルト設定が法令で可能となりましたし、
イギリスでは被用者へのアンケート調査を通じて老後の資産形成を先延ばしし
がちな国民性がレポートとして報告されています。ひるがえって日本において
は、検討過程において、加入者の実態があまり分析されていないようです。運
営管理機関や事業主が描く加入者像は、加入者の姿そのものでしょうか?
DC制度は、個々人が運用責任を負うものですし、運用を行うのは「普通の」
個人です。今後、制度を発展させていくためには、その考え方や行動を分析す
ることの重要性がより増していくと思われます。そのためには、記録関連運営
管理機関に保存されている膨大なデータの分析を政府が行うなどの方策もあっ
てよいのではないでしょうか。

ここまで、課題と思われる点をまとめてきましたが、DC法改正法案は大き
な転換を形にしていくものであると思っています。一日も早い法案の審議開始
と成立が望まれます。

*執筆者紹介
村本弘美 フリーライター AFP

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2〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています
「ホンネで語り合う企業年金事情 2015夏秋期」
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下記のとおり大阪で勉強会を開催いたします。

厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金等、各企業年金の動向や現
場の動き、実際の改革事例、退職給付会計の動向、基金やDBの資産運用動向、
DC投資教育の動向、諸外国の年金動向など幅広い内容をもとに、年金基金の
担当の方、企業の人事・労務担当の方、財務部門の方、事業主の方、運用機関
の方、コンサルタント等、それぞれの立場から自由に意見を語り合える場にも
してまいります。企業年金にご関心のある方のご参加をお待ちしております。

◆日 時:平成27年9月6日(日)15:00~17:00 (受付開始14:45)

◆会 費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後にお知らせいたします)

◆講 師:登録講師
1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

◆会 場:追手門学院大阪城スクエア
大阪市中央区大手前1-3-20
(追手門学院大手前中・高等学校本館6階)

会場へのアクセス
http://www.otemon-osakajo.jp/outline/index.html

◆定 員:20名(先着順)

◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会

◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお申込みください。
http://www.benkyou-j.com/study/detail.php?sid=193

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3〉確定拠出年金の施行状況(平成27年6月30日現在)~厚生労働省調べ
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厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の
データについて、その内容を以下にご紹介します。
アドレスは、こちらです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html

(1)承認規約数     4,666件
(2)加入者数     約5,298千人(平成27年5月末 速報値)
(3)実施事業主数   20,232社

◆個人型年金の加入者等(平成27年5月末現在)
(1)第1号加入者   64,125人
(2)第2号加入者   154,032人
(3)合 計      218,157人(資格喪失者を除く)
(4)事業所登録    135,785事業所

◆登録運営管理機関   198社

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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが下記の検定情報サイト内、DCプランナー
向けコーナーの『登録情報変更連絡フォーム』からご連絡いただきますよう
お願いいたします。
住所変更をされていない場合、資格更新に関する案内文書などの郵送物が
届かなくなりますので、ご注意ください。

〇登録情報変更連絡フォーム
http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact
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次号(第306号)は、8月15日(土)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】

編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター

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このメールマガジンの内容に関するご意見・ご感想は、編集部までお寄せ
ください。
E-Mail:nenkin@jcci.or.jp
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