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》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《
第306号(2015.8.15)
日本商工会議所
商工会議所年金教育センター
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〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【連載記事】
1〉「2015年度の年金法の改正事項」(全3回)
第2回 被用者年金の一元化
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2〉1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)認定試験
答案練習(全8回)
2015年度試験対策 [第4回]B分野:確定拠出年金制度
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【勉強会の開催情報】
3〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています
「ホンネで語り合う企業年金事情 2015夏秋期」(再掲)
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「2015年度の年金法の改正事項」(全3回)
第2回 被用者年金の一元化 松村正明
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2015年度は、年金制度に大きく影響する「マクロ経済スライドの適用開始」
「被用者年金の一元化」「マイナンバー制度の導入」と多くの改正事項があり
ます。第2回として、10月から施行される「被用者年金の一元化」について説
明します。
被用者年金制度の一元化を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法
律(以下「一元化法」)は、2012年8月10日に成立し、2015年10月1日に施行
されます。
一元化法は、同じ公的年金でありながら官民格差がある厚生年金と共済年金
を「民間被用者、公務員を通じ、将来に向け、同一の報酬であれば同一の保険
料を負担し、同一の公的年金給付を受ける」という公平性を確保することを目
的として、厚生年金と3つの共済年金(国家公務員共済組合、地方公務員共済
組合、私立学校振興・共済事業団(以下「共済組合等」)を厚生年金制度に統
一し、共済年金と厚生年金との制度的な差異を解消するものです。具体的には、
共済年金の遺族年金の転給や3階部分の職域加算は廃止されます。
一元化されるということで、「共済組合がなくなる」とか、「年金はすべて
日本年金機構が手続きを行う」などと考えられている方もいるようですが、制
度上2階部分の年金を厚生年金に統一することで、一元化後も効率的な事務処
理を行う観点から、共済組合等の年金は「厚生年金として」今までどおり共済
組合等が被保険者の管理から年金の決定・支給まで行います。
※今までの厚生年金 ⇒ 第1号厚生年金
国家公務員共済組合 ⇒ 第2号厚生年金
地方公務員共済組合 ⇒ 第3号厚生年金
私立学校振興・共済事業団 ⇒ 第4号厚生年金
一元化の概要は以下のとおりです。
(1) 厚生年金に公務員及び私学教職員も加入することとし厚生年金に統一する。
(2) 共済年金と厚生年金の制度的な差異は、基本的に厚生年金に揃えて解消する。
(3) 共済年金の保険料を引き上げ、厚生年金の保険料(上限18.3%)に統一する。
(4) 共済年金の職域部分は廃止し、共済年金に3階部分の新たな年金を作る。
(5) 年金の記録の管理、適用徴収業務、支払・決定は、従来どおり日本年金機構
及び各共済組合等で行う。
(6) 年金給付の受給資格要件の判定は、厚生年金の期間として合算して行う。
(7) 受給者からの年金相談や届書の受付は、原則、すべての窓口(日本年金機
構及び各共済組合等)で対応する。(ワンストップサービス)
今回の改正で、共済組合の期間も厚生年金の期間に合算されますので、受給資
格要件の判定および年金額の計算も、原則合算された期間に基づいて行います。
(1) 特別支給の老齢厚生年金の受給資格期間は、共済期間+民間期間が1年あ
れば支給されます。
(2) 加給年金は共済期間+民間期間が20年あれば、加給年金の対象になります。
逆に被扶養配偶者が共済期間+民間期間が20年以上あれば、加給年金は支給
されません(振替加算も支給されません)。
(3) 離婚分割は、今までは厚生年金と共済年金の一方だけでも請求することが
できましたが、施行日以降は厚生年金期間として同時に請求することになり、
分割計算も合算された標準報酬総額に基づいて改定割合を算出します。
(4) 在職老齢年金は、制度上は厚生年金の在職老齢年金の支給停止方法になり
ますが、共済期間もある場合の計算は、それぞれの厚生年金の額を合算して
支給停止総額を算出し、それぞれの年金の額に応じて按分して支給停止を行
います。
施行日前は、共済年金の方が厚生年金で働いた場合、65歳未満の場合は高
在老(支給停止基準額が47万円)の計算で支給停止され、厚生年金の方が共
済年金で働いた場合は支給停止がありませんでした。一元化後は、年金額も
合算され、しかも低在老(支給停止基準額が28万円)の計算で支給停止され
ますので、支給停止額が多くなります。そこで施行日を跨いで在職している
受給者については、激変緩和措置 (総報酬月額相当額と基本月額の合計額の
1割上限と35万円保障)が適用されます。
(5) 遺族厚生年金は、共済年金の転給制度は廃止され、遺族の範囲も厚生年金
に揃えます。受給資格要件も保険料納付要件が適用され、共済期間と民間期
間を合算して、長期要件・短期要件の判定および年金額の算出を行います。
(6) 障害厚生年金も、受給資格要件に保険料納付要件が適用され、共済期間と
民間期間を合算して年金額の算出を行います。
一元化に伴う厚生年金の改正事項として、今まで年金相談等で改正が要望さ
れていた事項(共済年金の制度に揃えるもの等)があります。
(1) 退職改定および在職老齢年金の支給停止の基準日は、今までは資格喪失日
(退職日の翌日)にしていましたが、施行日以降は、退職日となります。
月末退職の場合は、退職者の生活実態に合わせて退職月の翌月から(今ま
でよりも1ヵ月早く)改定された年金額が支給されます。
(2) 年金額の計算も今までは、50円単位を四捨五入して100円単位にしていまし
たが、施行日以降は50銭単位を四捨五入して1円単位となります。
また、年6回の支給年金額について、今までは1円未満を切り捨てたまま
でしたが、施行日以降は、1円未満を切り捨てた額の合計(円未満切り捨て)
が2月の年金に加算されて支給されます。
今までは厚生年金と共済年金の両方の期間を有していた場合は、別々に年金
請求をしていましたが、一元化後は年金請求書についても年金事務所または共
済組合等のいずれか一ヵ所に1部を提出(加入期間確認通知書が原則不要)す
ればよいことになります。
今、国会で審議されているDC法の改正案では、公務員も個人型DCに加入
することができるようになります。
DCプランナーの皆様も一元化について内容を理解しておくことが必要です。
*執筆者紹介
松村 正明 みずほ信託銀行 年金管理部 調査役
特定社会保険労務士、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
1級FP技能士、CFP
※本稿における意見は筆者個人に属するものであり、筆者が所属する会社の
見解を示すものではありません。
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2〉1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)認定試験
答案練習(全8回)
2015年度試験対策 [第4回]B分野:確定拠出年金制度
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【問題】(2015年1月出題)
次の各問(《問1》~《問2》)に答えなさい。
《問1》 確定拠出年金の事業主返還資産に関する次の記述のうち、不適切な
ものはどれか。
1) 確定拠出年金の障害給付金の受給権者は、個人別管理資産額を事業主に
返還する必要はない。
2) 死亡によって加入者の資格を喪失した場合は、個人別管理資産額を事業
主に返還する必要はない。
3) 事業主返還資産の要件となる実施事業所に使用された期間には、育児休
業期間による休職期間は含まれない。
4) 60歳に達したことにより加入者の資格を喪失した者は、個人別管理資産
額を事業主に返還する必要はない。
《問2》 確定拠出年金における運営管理機関の行為準則に関する次の記述の
うち、不適切なものはどれか。
1) 運営管理機関は、株式を運用の方法として提示したときは、当該株式を
発行する企業が倒産した場合には、加入者等の個人別管理資産のうち当該
株式での運用に係る部分の資産がゼロとなる可能性が高いことを加入者等
に対し、十分に情報提供する必要がある。
2) 運営管理機関がその運営管理業務の一部を他の運営管理機関に再委託し
ている場合は、当該再委託した運営管理機関から、その業務の実施状況等
について少なくとも年1回以上定期的に報告を受けなければならない。
3) 記録関連運営管理業務を行う運営管理機関は、加入者等の同意がある場
合は、事業主または他の運営管理機関に対して、加入者等の個人別管理資
産額の情報を提供することができる。
4) 運営管理機関は、法令の規定に基づき、裁判所や税務署等から加入者の
個人情報提出命令等があった場合、加入者の同意がある場合に限り、加入
者の個人情報を提供することができる。
※ 本練習問題の解答・解説については、資格登録者のみに公開しています。
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3〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています
「ホンネで語り合う企業年金事情 2015夏秋期」(再掲)
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8月1日付のメルマガでご案内しましたように大阪で勉強会を開催します。
定員にまだ余裕がありますので、参加を希望される方は、お早めにお申し込
みください。
厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金等、各企業年金の動向や現
場の動き、実際の改革事例、退職給付会計の動向、基金やDBの資産運用動向、
DC投資教育の動向、諸外国の年金動向など幅広い内容をもとに、年金基金の
担当の方、企業の人事・労務担当の方、財務部門の方、事業主の方、運用機関
の方、コンサルタント等、それぞれの立場から自由に意見を語り合える場にも
してまいります。企業年金にご関心のある方のご参加をお待ちしております。
◆日 時:平成27年9月6日(日)15:00~17:00 (受付開始14:45)
◆参加費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後にお知らせいたします)
◆講 師:登録講師
1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
◆会 場:追手門学院 大阪城スクエア
大阪市中央区大手前1-3-20
(追手門学院大手前中・高等学校本館6階)
会場へのアクセス
http://www.otemon-osakajo.jp/outline/index.html
◆定 員:20名(先着順)
◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会
◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお申込みください。
http://www.benkyou-j.com/study/detail.php?sid=193
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが下記の検定情報サイト内、DCプランナー
向けコーナーの『登録情報変更連絡フォーム』からご連絡いただきますよう
お願いいたします。
住所変更をされていない場合、資格更新に関する案内文書などの郵送物が
届かなくなりますので、ご注意ください。
〇登録情報変更連絡フォーム
http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact
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次号(第307号)は、9月1日(火)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】
編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター
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