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》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《
第307号(2015.9.1)
日本商工会議所
商工会議所年金教育センター
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〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【企業年金あれこれ】
1〉「企業年金資産のアクティブ運用」(全3回)
第1回「サミュエルソンの議論
本質的に“all or nothing”的論争の原型?」
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【勉強会の開催情報】
2〉大阪で開催する勉強会のご案内 ≪予告≫
【大阪開催】2015年度「DCプランナー1級受検対策講座」
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3〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています。
「ホンネで語り合う企業年金事情 2015夏秋期」(再掲)
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【各種のデータ】
4〉確定拠出年金の施行状況(平成27年7月31日現在)~厚生労働省調べ
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【日本商工会議所からのお知らせ】
5〉平成27年度1級DCプランナー資格更新研修会の開催日程について
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このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「企業年金資産のアクティブ運用」(全3回)
第1回「サミュエルソンの議論
本質的に“all or nothing”的論争の原型?」 大輪 秋彦
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1. はじめに:「年金の恒等式」
確定給付型(DB)であろうと確定拠出型(DC)であろうと、一度年金制度が設立
されると必ず成り立つメカニズムがあります。筆者が「年金の恒等式」と称し、
年金制度運営を考える際の原点として長年利用している、制度の構造的特徴を
上手く表現できるフレームワークです。
年金の恒等式:給付 ≡ 掛金 + 運用収益 ※「≡」常に等しい
意味するところは明確で、「給付は、掛金とその掛金を運用して得た収益と
の合計で、必ず賄われねばならない」です。(従って、「恒等式」)
ただしDBとDCでは、恒等式記号の左辺と右辺の、どちらがどちらを規定する
のかが、異なることになります。
DBの場合:
給付 → 掛金 + 運用収益 (給付を、掛金と運用収益でマネージする)
DCの場合:
給付 ← 掛金 + 運用収益 (給付は、掛金と運用収益で事後的に
決まる)
当コラム『企業年金資産のアクティブ運用』(3回の予定)では、この恒等
式を構成する3要素の内、「運用収益」にフォーカスさせていただきます。
具体的には、期待する運用収益をあげるための「資産運用」手法としての
「アクティブ運用」の、押えておきたい勘所を概観します。
2. ポール・サミュエルソンの議論
所謂「現代ポートフォリオ理論」を基礎にした「パッシブ運用」の代表例で
ある「インデックス運用」(以下、当小論では「パッシブ運用」)の登場前
(初めての「インデックスファンド」の設定は1975年とされます。)は、運用
=アクティブ運用でした。
何しろ、対立するパッシブという運用手法(スタイル)概念が存在していな
かったわけですから、アクティブという概念すらなかったはずです。従って、
アクティブ運用は、The元祖運用と言えるでしょう。
ポール・サミュエルソン(1970年ノーベル経済学賞受賞)は、「理論」を具現
した待望久しいインッデクスファンドが登場する、ちょうどそのような時、
1974年のThe Journal of Portfolio Management誌創刊号への寄稿論文で、「論
理では、首尾一貫してリスク調整後で市場平均以上のリターンをあげることの
できる、少数の運用者が存在しないということは証明できない。」と書きまし
た。
これは回りくどいトリッキー表現です。誤解のないよう注意していただきた
いのは、サミュエルソンは「存在する」と言っているわけでは決してなく、
「存在する、しないの証明はできない」と言っているだけだということです。
それだけではなく、当時の資産運用の世界を取り巻く雰囲気を生き生きと感
じさせるのですが、「ランダム・ウオーク」、「ウイーク型の市場効率性」
(ご承知のとおり、リスク調整後で市場平均以上のリターンを継続的にあげる
ことが難しい根本原因とされています。)に疑念を持つ「運用業界」に対して、
学者が公開情報で上記の少数の運用者を探し出すことは、事実上不可能だと述
べ、「ボールはそちら側のコートにあるのだから、打ち返してこい。」と論文
の終り辺りで言います。意味するところは、「そのような運用者が存在すると
いうなら証拠を示せ」ということです。謂わば「ファイナンス学界」を代表し
て(?)のチャレンジです。(実務界からの効果的なボールのリターンは、筆
者の知り得る限りされていません。)
その後も、ファイナンス学界からのチャレンジは繰り返されており、長年に
渡り運用関連部門のベストセラーである、バートン・マルキール著の「ウオー
ル街のランダム・ウオーク」(井出正介訳、日本経済新聞社)に、有名なので
ご存じの方も多いかもしれませんが、次のような、いささか極端だと思えるく
だりがあります。
「学者の中には、目隠しした猿にウオール・ストリート・ジャナールめがけ
てダーツ投げをさせて銘柄を選んでも、プロのファンド・マネジャーと同じく
らいの成果が得られる、とまで言う者もいる。」如何ですか? かなり強烈です。
3.次回は
我々が年金資産の運用を考える際には、アクティブ運用とパッシブ運用の優
位性をめぐる、本質的には“all or nothing”的な「哲学的論争」には、敢え
て積極的に仲間入りをする必要性はないように思います。ただし、それは複数
の運用手法(スタイル)の採用が可能、また、そのような運用手法(スタイル)
ミックスの導入を考慮する時間・リソースがある、等の条件が確保されている
ような場合です。
なぜなのでしょうか? 次回、ウィリアム・シャープ(1990年ノーベル経済
学賞受賞者)の議論をとおして、考えてみます。
なお、当小論中の意見にかかわる部分、および有り得べき誤りは、筆者個人
に帰属するものであることを、予めお断りします。
※執筆者紹介 大輪 秋彦
事業会社にて財務、計画、リース部門の業務を経験。特に、企業年金資産
の運用・管理に長年携わる。
事業会社を退職後現在は、早稲田大学大学院ファイナンス学科 非常勤講師、
三菱UFJ信託銀行年金業務顧問を務める。
日本ファイナンス学会会員。
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2〉大阪で開催する勉強会のご案内 ≪予告≫
【大阪開催】2015年度「DCプランナー1級受検対策講座」
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例年ご好評をいただいているDCプランナー1級試験の受験対策講座を今年
も開講いたします。DC1級試験にチャレンジをお考えの方にメールマガジン
先行で日程の告知をさせていただきます。
なお、9月15日からお申込み受付を開始する予定です。
※9月15日号のメールマガジンにおきまして、お申込み受付URLをお知ら
せいたします。
●スケジュールは下記のとおりです。
【基礎講座】
科目:公的年金
2015年11月21日(土)13:30~17:00
会場:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
科目:退職給付会計
2015年11月28日(土)10:00~13:00
会場:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
科目:企業年金及び確定拠出年金
2015年11月28日(土)14:00~17:00
会場:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
科目:C分野及びD分野
2015年12月19日(土)10:00~13:00
会場:追手門学院大阪城スクエア
【直前講座】
科目:公的年金
2016年1月11日(月・祝)10:00~13:00
会場:追手門学院大阪城スクエア
科目:直前最終チェック(全分野)
2016年1月11日(月・祝)14:00~17:00
会場:追手門学院大阪城スクエア
●受講料
1科目5,000円(税込)です。
基礎講座・直前講座をパックにしたお得なプランをご用意しております。
初受験の方は、パック申込みをお奨めします。
パック受講料:20,000円(税込)
◆定 員:20名(先着順)
◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会
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3〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています。
「ホンネで語り合う企業年金事情 2015夏秋期」(再掲)
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8月1日付のメールマガジンでご案内しましたように、大阪で勉強会を開催
します。定員にまだ余裕がありますので、参加を希望される方は、お早めにお
申し込みください。
厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金等、各企業年金の動向や現
場の動き、実際の改革事例、退職給付会計の動向、基金やDBの資産運用動向、
DC投資教育の動向、諸外国の年金動向など幅広い内容をもとに、年金基金の
担当の方、企業の人事・労務担当の方、財務部門の方、事業主の方、運用機関
の方、コンサルタント等、それぞれの立場から自由に意見を語り合える場にも
してまいります。企業年金にご関心のある方のご参加をお待ちしております。
DC改正法案の進捗状況、いま話題の第三の年金、厚生年金基金の最近の動
き、東芝のDC導入、中退共に入れる意外な企業など、盛りだくさんの内容で
お届けいたします。
◆日 時:平成27年9月6日(日)15:00~17:00 (受付開始14:45)
◆会 費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後にお知らせいたします)
◆講 師:登録講師
1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
◆会 場:追手門学院大阪城スクエア 6階 大会議室
大阪市中央区大手前1-3-20
(追手門学院大手前中・高等学校本館6階)
会場へのアクセス
http://www.otemon-osakajo.jp/outline/index.html
◆定 員:20名(先着順)
◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会
◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお申込みください。
http://www.benkyou-j.com/study/detail.php?sid=193
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4〉確定拠出年金の施行状況(平成27年7月31日現在)~厚生労働省調べ
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厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の
データについて、その内容を以下にご紹介します。
アドレスは、こちらです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html
(1)承認規約数 4,692件
(2)加入者数 約5,301千人(平成27年6月末 速報値)
(3)実施事業主数 20,436社
◆個人型年金の加入者等(平成27年6月末現在)
(1)第1号加入者 64,727人
(2)第2号加入者 157,616人
(3)合 計 222,343人(資格喪失者を除く)
(4)事業所登録 138,157事業所
◆登録運営管理機関 198社
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5〉平成27年度1級DCプランナー資格更新研修会の開催日程について
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平成27年度1級DCプランナー資格更新対象者(有効期限:平成28年3月
31日)向けの更新研修会につきましては、下記の日程で開催する予定です。
更新対象者の方には、追って資格更新に関する案内文書を郵送いたします。
平成27年10月31日(土) 10:00~17:10
平成27年11月 3日(火・祝)10:00~17:10
会場 AP浜松町(東京都港区芝公園)
http://www.ap-hamamatsucho.com/info/access.html
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次号(第308号)は、9月15日(火)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】
編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター
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このメールマガジンの内容に関するご意見・ご感想は、編集部までお寄せ
ください。
E-Mail:nenkin@jcci.or.jp
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《禁・無断転載》
このメールマガジンの著作権は、上記の発行者に帰属します。
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