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  》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《

                         第309号(2015.10.2)
                          日本商工会議所
                     商工会議所年金教育センター

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          〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【企業年金あれこれ】
1〉「企業年金資産のアクティブ運用」(全3回)
   第2回「シャープの議論:アクティブ運用の原理的性質」
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【勉強会の開催情報】
2〉東京で開催する勉強会の参加者を募集しています。
  「社会保障審議会企業年金部会の議論から
-リスク分担型DBと集団運用型DC-」
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3〉東京で開催する勉強会のご案内 
   <DCプランナー1級試験重点対策講座>
   全分野のポイント整理と「退職給付会計」「投資分野」の重点対策
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4〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています
  【大阪開催】2015年度「DCプランナー1級受検対策講座」(再掲)
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【各種のデータ】
5〉確定拠出年金の施行状況(平成27年8月31日現在)~厚生労働省調べ
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【日本商工会議所からのお知らせ】
6〉平成27年度資格更新手続きにおける案内文書の送付について
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 このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「企業年金資産のアクティブ運用」(全3回)
   第2回「シャープの議論:アクティブ運用の原理的性質」 大輪 秋彦
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1.アクティブ運用の算数的事実
 今回のテーマは、ウィリアム・シャープ(1990年ノーベル経済学受賞)が唱
えたアクティブ運用の「算数的事実」です *1。
 シャープは難しい話(「効率的市場仮説」、「合理的投資家」や「運用者の
スキル」等)は避け、次のように、とても分かり易くアクティブ運用の「原理
的性質」を説明しています。

 *1:“The Arithmetic of Active Management.” Financial Analysts
    Journal, Vol.47, No.1 (Jan.-Feb.,1991) pp. 7-9

(1) 先ず、投資先「銘柄・市場」を選ぶ。
 (S&P 500,TOPIXの全組入れ銘柄とかです)

(2) 次に、全ての投資家をパッシブ運用投資家とアクティブ運用投資家に二分
 する。
・パッシブ運用投資家:市場の時価構成比率(浮動株調整済み)に一致させ
て構築した、「完全法」ポートフォリオで運用する投資家。
・アクティブ運用投資家:上記以外の全ての投資家。

(3) すると、アクティブ運用部分とパッシブ運用部分の各々の金額加重平均リ
ターンの2つを、更に金額加重平均したものが市場リターンとなる。

I. コスト控除前:
(4) 定義上、パッシブ運用部分(平均)リターン=市場リターンである。

(5) よって(3)より、アクティブ運用部分(金額加重)平均リターン=市場リタ
ーンとなる。

(6) 従って、パッシブ運用部分(平均)リターン=市場リターン=アクティブ
 運用部分平均リターンが成立する。

II.コスト控除後:
(7) アクティブ運用はパッシブ運用に比べ、多くのリサーチや銘柄の売買が伴
うために、コストが嵩む。[事実に依拠]

(8) よって、(6)から、アクティブ運用部分リターン < パッシブ運用部分リ
ターンとなる。

この原理的性質=算数的事実は「当惑するくらいシンプル」(シャープ)では
ないでしょうか?

 上記メッセージを筆者なりに解釈・整理し、実践上のポイントを考えたのが、
以下です。

2. メッセージの解釈
(1)「アクティブ有りき」が理に適っているとは言えない。
(対パッシブでの優位性の観点)

(2) 個々のアクティブ運用者がパッシブ運用者をコスト控除後でも上回る成果
(以下、「アルファ」)をあげることは否定されない。

(3) このことは、シャープ・ロジックのアクティブ運用者ユニバースでの成立
 を自ずと含意する。即ち、アルファを獲得する者の存在は、できない者の存
在と、必ずセットである。 

(4) 従って、複数採用のアクティブ運用者総合で、アルファ獲得も可能。
この場合の現実的な必要条件は、全てのアクティブ運用者がパッシブ運用者
を上回ることではなく、上回った者の運用額合計がアクティブ運用部分の過
半となることである。

3. アクティブ運用実践上のポイント
(1) 採用側の労力と狙うアルファのバランスを考え、上位と下位の運用者の長
期的なパフォーマンス差の大きい分野に的を絞り、上位運用者の採用を狙う。

(2) 世の中には、アルファ獲得のスキルを持つアクティブ運用者が存在するに
せよ、自分が見つけることが可能か、見つけたとしても資金の受け入れがあ
るか。

(3) 採用後のモニタリング等の運用者マネージメントが可能か。
(採用側の体制等、ガバナンスに関わる問題)

(4) いかにスキルのある運用者でもアルファをあげ続けることは、まず不可能。
(参照:前回のサミュエルソンの議論)
そこで2.(4)を考慮し運用者組合せでの対処(マネージャー・ストラクチュ
アー)が必要になるが、運用者の複数採用は可能か。

(5) 確かなベンチマークの入手・設定が困難な分野の場合、(1)と(3)が特に重要。

4.おわりに
 自分のものではない「おかね」の運用に責任を持つ場合、アクティブ運用(者)
の採用は、個人的な「好き嫌い」では済まず、それなりの高さのバーが存在しま
す。3.に挙げた最低条件を十分にクリアーできそうもない場合、アクティブ運
用がいかに魅力的(または、そう見える)にしても、目的・必要性を含め、導
入の慎重な再検討が必要です。

 次回(最終回)は、最近耳目をひく「スマート・ベータ」も含めて、投資手
法分類の大項目「アクティブ」、「パッシブ」の立ち位置の整理を考えたいと
思います。

  なお、当小論中の意見にかかわる部分、および有り得べき誤りは、筆者
 個人に帰属するものであることを、予めお断りします。

* 執筆者紹介 大輪 秋彦
事業会社にて財務、計画、リース部門の業務を経験。特に、企業年金資産の
 運用・管理に長年携わる。
 事業会社を退職後現在は、早稲田大学大学院ファイナンス学科 非常勤講師、
 三菱UFJ信託銀行年金業務顧問を務める。
 日本ファイナンス学会会員。

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2〉東京で開催する勉強会の参加者を募集しています。
  「社会保障審議会企業年金部会の議論から
-リスク分担型DBと集団運用型DC-」
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◆内 容
9月11日に開催された社会保障審議会企業年金部会では、DB掛金の弾力化
・リスク分担型DBといった、従来の日本の企業年金制度とは発想を異にする
新たな提案がされています。この提案は、オランダで普及している「集団運用
型DC」を参考にしたもので、企業と従業員の間で、企業年金制度運営に係る
リスクを分担することを目指しています。

本勉強会では、企業年金部会の提案内容とオランダの集団運用型DC、それ
ぞれの概要・特徴を説明したうえで、両制度の類似点と相違点、制度導入に際
しての留意点等について解説します。

また、イギリスでは公的年金制度の改正を契機として、企業年金制度の大改
革が行われています。具体的には、日本の厚生年金基金制度創設の際に参考と
された「公的年金の適用除外」の廃止、集団運用型DCの導入(ハイブリッド
制度の拡充)、DCの受給方法の弾力化、DBからDCへの受給権移換などで
す。これらの点についても、日本の企業年金制度を考えるうえで参考になると
思われるため、その概要を解説する予定です。

◆日 時:11月4日(水)18:30~20:30(受付18:00~)

◆会 費:3,500円(会場にて申し受けます)

◆講 師:佐野 邦明
     (株)CAC専門顧問(元 三菱UFJ信託銀行)
     年金数理人
     日本アクチアリー会正会員
     日本年金学会会員

◆会 場:東京都港区虎ノ門 第一オカモトヤビル 4階 
     http://www.okamotoya.com/company/office/pop_1.html

◆定 員:40名(先着順)

◆お申し込み方法:
     Eメールにて、タイトルに「11月4日勉強会参加希望」と
     ご入力頂き、お名前、所属、領収書の宛名が異なる場合は
     その名称をご記入のうえ、以下のアドレス宛てにお送り
     ください。
     admin@globalmind.co.jp

◆幹 事:みなとグローバル研究会 虎ノ門勉強会(旧 企業実務研究会)  
     事務局 大高 直美

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3〉東京で開催する勉強会のご案内 
  <DCプランナー1級試験重点対策講座>
   全分野のポイント整理と「退職給付会計」「投資分野」の重点対策
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〈主催〉年金問題研究会

〈開催日時〉
 11月21日(土)9:30~17:00
 会場:東京都内予定
                              
〈特  徴〉
 ・全分野の押さえどころを重点を絞って解説します。
 ・1級合格のカギを握る退職給付会計と投資分野は、特に重点的にわかりや
  すく解説します。

〈カリキュラム〉
 午前:A分野(公的年金等)、B分野(確定拠出年金)、D分野(ライフプラン)
    のポイント法改正の動向、試験問題分析、今年度の試験重点テーマ
 午後:退職給付会計の基礎と要点
    C分野(アセットアロケーション、パフォーマンス測定、リスクの測定他)

〈申込要領〉
 ●申込締切日 11月16日(月)

 ●受講料 16,000円(税込)
  ※同時に問題集等の書籍購入をご希望の方は、受講料にご希望の本の代金
   を加えてご入金ください(受講者特別割引になります)。
   DC1級合格対策問題集2015年度版(第19回解答・解説付) 2,000円
   DC1級試験問題解答解説 各500円
  ※DC1級試験問題解答解説は、各冊回別(第12回~第19回)
  ※問題集を後から申し込む場合でも、この特別割引は適用になります。
(2015年度試験日前まで有効)
  ※問題集等を購入しなくても受講に差し支えはありません。
  ※問題集は書店で販売しているものと同じです(回別の解答解説は書店で
    は販売しておりません)。

 ●申込方法
  ※年金問題研究会のEメールアドレス(kpunenkin@parknet.co.jp)に以下
   の申込内容をご記入のうえ、送信してください。申込着信後、受講申込
   受付とご入金額を返信いたしますので、受講料等をご入金ください。
   入金が確認でき次第、受講票等をお送りします。
    1.お名前(フリガナ)
    2.受講票等送付先住所
    3.電話番号
    4.Eメールアドレス(受講案内等のワードファイル添付可能なもの)
    5.同時購入書籍がある場合は書籍名と冊数   

  ※年金問題研究会のホームページで案内する申込方法でお申し込みいただ
   いてもけっこうです
  
 ●申込・お問合せ先
  年金問題研究会
  〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2-12-10
        阿部ビル2階2号経営企画出版内
        TEL:03-3204-5745
        FAX:03-3204-5743 
        Eメール:kpunenkin@parknet.co.jp

詳細については
 年金問題研究会ホームページ(http://web.parknet.co.jp/kpu/nenkin)
 をご参照ください。

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4〉大阪で開催する勉強会の参加者を募集しています
  【大阪開催】2015年度「DCプランナー1級受検対策講座」(再掲)
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 例年ご好評をいただいているDCプランナー1級試験の受験対策講座を今年
も開講いたします。2015年度は、マクロ経済スライドの初適用、被用者年金の
一元化など新たな動きがみられます。現在、国会審議中ですが、確定拠出年金
の普及に向けた改正も見逃せません。本講座では、公的年金、企業年金等のエ
キスパートとして活躍されている講師をお招きし、基礎からわかりやすく講義
していただきます。
 基本、全科目受講していただく前提で講義を進めます。ご予定の都合で全科
目は受講できない方には、一科目ずつ受講することも可能です。料金は、下記
の案内をご覧ください。

●スケジュールは下記のとおりです。

【基礎講座】 

  科目:公的年金
   2015年11月21日(土)13:30~17:00
   会場:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
      (大阪府大阪市中央区大手前1丁目3-49)
      https://www.dawncenter.or.jp/shisetsu/map.html

  科目:退職給付会計
   2015年11月28日(土)10:00~13:00
   会場:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
      (大阪府大阪市中央区大手前1丁目3-49)
      https://www.dawncenter.or.jp/shisetsu/map.html

  科目:企業年金及び確定拠出年金
   2015年11月28日(土)14:00~17:00
   会場:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
      (大阪府大阪市中央区大手前1丁目3-49)
      https://www.dawncenter.or.jp/shisetsu/map.html

  科目:C分野及びD分野
   2015年12月19日(土)10:00~13:00
   会場:追手門学院 大阪城スクエア
      (大阪府大阪市中央区大手前1-3-20)
      http://www.otemon-osakajo.jp/outline/index.html

【直前講座】

  科目:公的年金
   2016年1月11日(月・祝)10:00~13:00
   会場:追手門学院 大阪城スクエア
      (大阪府大阪市中央区大手前1-3-20)
      http://www.otemon-osakajo.jp/outline/index.html

  科目:直前最終チェック(全分野)
   2016年1月11日(月・祝)14:00~17:00
   会場:追手門学院 大阪城スクエア
      (大阪府大阪市中央区大手前1-3-20)
      http://www.otemon-osakajo.jp/outline/index.html
 
●受講料  全科目パックの受講料:20,000円(税込)
      単科受講の場合、一科目の受講料
                : 5,000円(税込)

      ※受講料は、当日会場にて現金で申し受けます。
    ※3科目以下の受講を希望される方につきましては、
     申込フォームの「領収証の宛名」欄にその旨を記入
       してください。

 
◆定 員:20名(先着順)

◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会

◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお申込みください。
http://www.benkyou-j.com/study/detail.php?sid=194

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5〉確定拠出年金の施行状況(平成27年8月31日現在)~厚生労働省調べ
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 厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の
データについて、その内容を以下にご紹介します。
 アドレスは、こちらです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html

(1)承認規約数     4,714件
(2)加入者数     約5,333千人(平成27年7月末 速報値)
(3)実施事業主数   20,572社

◆個人型年金の加入者等(平成27年7月末現在)
(1)第1号加入者   65,460人
(2)第2号加入者   161,464人
(3)合 計      226,924人(資格喪失者を除く)
(4)事業所登録    140,653事業所

◆登録運営管理機関   198社

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6〉平成27年度資格更新手続きにおける案内文書の送付について
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 平成27年度1級および2級DCプランナー資格更新手続きにおける案内文書
につきましては、今年度更新対象者の方(有効期限:平成28年3月31日までの
方)宛てに発送を開始しています。
 10月7日(水)になっても案内文書が届かない場合には、日本商工会議所・
事業部までご連絡くださいますようお願いいたします。

○本件連絡先:日本商工会議所事業部
       TEL:03-6402-6154
      FAX:03-6402-6150
      E-mail:kentei@jcci.or.jp

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 次号(第310号)は、10月15日(木)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】
  
編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター 

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 このメールマガジンの内容に関するご意見・ご感想は、編集部までお寄せ
 ください。 E-Mail:nenkin@jcci.or.jp
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《禁・無断転載》
 このメールマガジンの著作権は、上記の発行者に帰属します。
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