簿記の勉強により、キャリアの幅が広がるだけでなく、経営を通じて周囲の人々に喜びを提供できます。
(千葉商科大学 商経学部4年生 芹澤 孟さん)

簿記資格を生かして、活躍する社会人の方々等を紹介する本コーナー

今回は、千葉商科大学4年生(2025年3月の取材当時)で、CUCフードサービス株式会社の取締役・店舗運営部長も務めておられる芹澤 孟さんにお話を伺いました。

芹澤さんは千葉商科大学で学生生活を送りながら、大学の関連会社と共同出資してCUCフードサービス株式会社を設立。同大学正門前にある町中華「萬来軒」を先代の店主(以下、先代)から事業承継して経営されています。

-大学正門前の町中華「萬来軒」を先代から事業承継し、経営されています。どのような経緯があったのでしょうか。

母が会社を経営しているのを幼少期から見てきたこともあり、元々、将来は経営者になりたいと思っていました。千葉商科大学には学生が主体となって学生食堂を企画・運営する「学生ベンチャー食堂」という制度があり、高校生の時にオープンキャンパスに来た時に、この制度に惹かれて受験しました。

入学後は2年生時から1年3カ月間、学内で中華食堂を経営し、さらに、1年間休学して台湾に留学し、現地の貧困家庭の支援と月3回子ども達に手軽なメニューの調理方法を伝授するイベント等を実施するボランティア事業にも携わってきました。

帰国後、再度学内で食堂を経営しようと考えていたところ、大学正門前の「萬来軒」が、先代の体調不良のため再開できない状態であると聞き、「ここは学内の中華食堂経営の経験がある自分が!」と思い、事業承継についてお願いに伺ったのが始まりです。

最も苦労したのは、長年地域に愛されてきた店の「味」の再現と承継です。先代は、職人気質で、紙のレシピとしてではなく、自分の感覚で頭の中に入れている方でした。そのため、昔ながらの変わらない店の「味」を受け継ごうにも、困難を極めました。また、67年もの間、雨の日も風の日もお店を経営されてきたプライドのある方です。「本当に学生が経営なんてできるのか」という不安もあったようで、事業承継の許可をいただくまでかなり時間がかかりました。

-お店には現在、開店直後から多くのお客さんが来られるようになり、繁盛されていますね

「味」の再現になんとか漕ぎ着けたのが大きいかなと思います。先代には事業承継の許可をいただくために、しつこいくらいに、何度も面会をお願いしました。結果、熱意が伝わって、許可をいただいてからは、連日「味」の伝承にご協力いただきました。頭の中にしかないレシピを言葉で教えていただき、一緒に試作したら味見を繰り返す日々でした。常連さんにも、何度も味見にご協力いただきました。先代をはじめ、周囲の方々の支えがあったからこそ、再出発できたと心から感謝しています。

-芹澤さんは、在学中に日商簿記3級に合格されています。簿記の勉強を始められたきっかけと、どのように勉強されたのかを教えてください。

内定先の銀行から「銀行業務に必要な金融や経営に関する知識を身に付けることができる、非常に役に立つ資格なので、是非取得しておくように」と言われたことが大きな理由です。1か月間ほど、購入したテキストと問題集を使って、友人とファミレスで勉強しました。

商業高校出身の友人は3級はすでに取得済で2級取得を目指していたので、テキストの中でわからないところを訊いたりしながら勉強を進めました。また、自分は仕訳の問題が難しく感じたので、仕訳の基礎を集中的に勉強して、苦手な部分を克服できるように努めました。

-経営者として、いま簿記の知識はどのように役に立っていますか。

資本金の仕組み、貸借対照表の読み方、経営状態の把握の仕方、資金の流れの効率的な分析など、経営に必要な知識を習得できたため、非常に役に立っています。仕訳もエクセルで管理していますが、3級の知識がかなり活かされています。特に、顧問税理士との打ち合わせの際に、「簿記の知識があって良かった!」と心の底から思いました。税理士から事前に渡される資料もスラスラと読めていますが、これも簿記を勉強していたからこそです。そうでなければ、打ち合わせになっていなかったと思います(笑)。

-簿記資格の取得を目指している方へ、メッセージをお願いします。

まず、資格を持っていれば、目標に向かってしっかりと勉強ができる人物と評価されるので、就職活動に役立ちます。また、簿記3級の資格取得に向けた学習を通じて、会計の基礎的な知識が身につきますので、銀行業務検定やフィナンシャルプランナー、税理士試験等、他の資格検定への挑戦も容易になり、キャリアの選択の幅が広がるメリットがあります。

加えて、会社のお金の流れや会計の仕組みが正確に把握できるようになるので、将来、経営に携わりたいと考えておられる方にも、是非取得していただきたい資格です。自分は簿記の知識があったからこそ、若くしてお店の承継・経営を円滑に進めることができました。

先代からの常連さんにも「美味しい、懐かしい場所を残してくれて嬉しい」「先代が休まれてから閉店が続いて諦めていたが、久しぶりに来たら開店祝いの花が並んでいて嬉しかった」「お店の雰囲気が昔のままで嬉しい。これからも通いたい」と喜びの声をいただいています。

このように、自分のキャリアだけでなく、経営を通じて周囲の人々にも喜びを提供できる土台となる知識が簿記だと思っています。是非、学習に励んでください!

「萬来軒」の前で

中華料理「萬来軒」

住所:千葉県市川市国府台1-4-6 1F

https://tabelog.com/chiba/A1202/A120202/12007973/

Profile

芹澤 孟 Takashi Serizawa

2002年千葉県生まれ。千葉商科大学商経学部4年生(2025年3月インタビュー当時)。

2年生時に、在学生に起業の機会を提供する同大学の取り組み「学生ベンチャー食堂」に応募し、学生食堂で中華料理屋を運営。その後1年間台湾に留学。帰国後、大学の関連会社と共同出資して新会社を設立し、大学正門前の「萬来軒」を事業承継して経営。

2025年4月からは、同店の経営を大学の後輩に引き継ぎ、銀行に就職予定。